[みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」-日経コンピュータ] 書評

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システム業界では超有名な失敗・延期プロジェクトとなってしまったみずほ銀行のシステム統合に関する考察。内部の方の記事ではなく、日経コンピュータが外部からの視点で見てきた20年の結果をもとに評論している内容です。

私自身、複数会社の平行合併に伴う全システムを破棄したうえで新統合システムへの刷新を進めるというプロジェクトのメンバーだったこともあるので、他人事とは思えない内容でした。

システム担当たちのテスト不足、引継ぎ・使用整理不足なのは末端のミスとしてあるとは思うのですが、根本的な失敗理由は
・システム統合の方向性を経営側が明確にしていなかったこと
・ITへの理解不足を隠そうともせず、学ぼうともしない経営陣
これに尽きます。私の経験上もそうですし、案の定みずほでもそうだったようです。

半分愚痴になりますが、普段は「所詮はシステムなんて道具に過ぎない」と文房具感覚でしか見てない経営者は、「うちのシステムには先進性が無い」とか言い出します。
経営者がシステムの活用を軽んじてる会社の社員がシステムを活用した戦略に力を入れるはずもなく、先進性のあるシステムを導入してもそれを動かすスキームが育たちません。結果、豚に真珠状態となり無駄に維持費だけかかるお荷物システムとなってしまいます。

みずほも過去ずっとそのような状況だったために、2011年の東日本大震災時に一般の会社では90年代に発生してたような情けない理由のシステム障害を発生させてしまいました。この辺、第二次世界大戦のときに大鑑巨砲主義から考えを転換することができなかった事とダブってしまい、日本はあの頃から何も学んでないのかと寂しい気落ちになります。
みずほの新システムもメインフレームがIBM機でCOBOLメインで開発したという話のようで、個人的には信じられないと思ってはいます。

とはいえ、無事システム切替も完了し、javaからアクセスできるAPIで柔軟性を持たせたという話なので多少は期待できる状況にはなってるんでしょうか。

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