コロナショックの影響により急速にテレワーク・在宅勤務の導入が進みましたね。
多くの会社が制度設計をする余裕もなく導入することになったかと思います。
コロナ禍終了後、何事もなかったかのようにテレワークを一切禁止する・・・というのは正直難しいでしょう。
もとに戻った後、テレワークのメリットを把握したうえでうまく活用できる体制を考えましょう。
1.前提条件を明確にしておく
まず最初に導入する前提条件(目的や導入する範囲)を明確にしましょう。
- 何のためにテレワークを導入するのか
→自社で導入する目的は何なのかはっきりさせましょう。
例)
育児・介護・家族の転勤が発生しても柔軟に対応できる体制をとることで優秀な社員の流出を防ぐ。
災害対策。
雇用地域を自社拠点以外にも広げるため。
事務所縮小によるコスト削減。 - 導入対象とする部門・担当はだれにするのか。導入範囲に制限を設けるのか
→制限を設ける場合、対象外の社員が納得する理由を考えましょう - テレワーク可能期間をどの程度とするか。
→週2~3日とするか、月2日程度の出社のみでそれ以外はテレワークとするかで検討事項が大きく変わります
2.テレワーク導入に関する順守事項を調べておく
テレワークはまだまだ始まったばかりで法改正が進んではいますが未だ追いついていないというのが正直なところかと思います。
とはいえ、法整備より先にテレワーク導入という実態がどんどん広がっているので官公庁もモデルケース・注意点、また法改正の方向性などを随時公開されています。
社員評価・業績分析など自社だけで完結することについて外部から指摘が来ることはありませんが、労働基準法や税法違反となることが無いようしっかり調べておきましょう。
特に現行の労働基準法はテレワークを考慮してないものとなっており、法規定と実態が乖離しているというのが正直な感想です。この点は労基署に確認するなどこまめな確認をした方がいいです。
3.部門別の対応・変更点を整理する
テレワークを始める時、管理部門(経理・総務・システム管理など)の業務内容が大きく変わります。事務所勤務・在宅勤務での差が発生する業務を一覧比較した資料を作るなど社員が理解・納得しやすい制度導入を目指しましょう。
人事部門の変更点
- 就業規則の変更
→「テレワーク勤務規定」を既存の就業規則とは別に用意する方が無難です - 人事評価制度・賞罰規定の見直し
→昇進・昇給基準や不正・サボりへの罰則を明確にします - 勤怠管理方法の検討
→厚生労働省からは「PCのログイン、ログオフ」などの客観的記録が求められています。既存の勤怠システムの活用含め対応を検討します
→みなし労働制・変形労働(フレックス)がある場合、どのように整合性をとるか検討します - 雇用形態の拡大、アウトソーシングの検討
→雇用形態の拡大(フレックスや裁量労働など)の検討、委任・請負契約によるリソースの確保、自社での人材確保やテレワーク化が難しい業務はアウトソーシングを検討します。 - 管理職へのガイドライン策定
→管理職が最低限抑えるべきことをまとめ共有します - 教育制度の見直し
→集合教育など今後どうするかを検討します(Webセミナー実施、eラーニングを活用するなど) - 採用基準、採用方法の改善検討
→テレワークのみで対応可能な業務の場合、採用範囲を拡大することも検討します - 通勤費について
→出社回数が少なくなる場合は、月1回の小口精算にするなどの検討をしましす
総務部門の変更点
- 事務所レイアウトの見直し
→テレワーク率の高い社員についてはフリーアドレスの利用の検討をするなど効率的な事務所利用を考えます - 会議質管理(Web会議含む)
→既存会議室・Webのバーチャル会議室の予約方法の整備、会議室レイアウトの見直しなどをします(導入後検討でもよい) - 備品調達方法
→テレワーク従事者の備品をどのように管理するか検討します
(個別手配させて小口精算にするなどの検討をする) - ネットワーク費用・デスク周りの備品に関する費用について
→個人手配しているネットワークや机・椅子などの費用をどのようにするか明確にします
(机購入まで経費処理している事例があるので問い合わせが来る可能性があるため) - 機密保持(セキュリティガイドライン)の見直し
→既存の基準より厳しくした方が無難です(順守しやすくするためのツール導入なども検討する) - 労災対応について
→テレワーク中の事故についても労災対象となった事例もあるため、テレワーク中は通常業務と同等として確認します
経理部門の変更点
- 経費申請の見直し
→コスト削減を考えると小口精算が確実に増えるので効率的に処理する方法を検討します - 助成金の確認
→テレワーク導入の助成金対象か確認します
常に見直しすることを忘れずに・・・
まだテレワーク運用は始まったばかりで日本の風土とは相容れない部分が多いですが、それらを乗り越えるだけのメリットが多くあるのも事実です。
残念ながらモデルケースもまだまだ少なく模倣するには企業風土を大きく変えなければいけないものが多いです。テレワーク導入のために自社の強みを失ってしまっては本末店頭なので、常に見直しをかけながら改善し続けましょう。